80年代の終わり頃『リズム&ブルースの死(著:ネルソン・ジョージ)』という本が出版されました。60年代のソウルミュージック(モータウンやスタックス)の隆盛を描いた作品で、60'sソウルを讃えた後に著者は「黒人の社会的地位が上昇するのと反比例して黒人音楽がつまらなくなる」と嘆きます。本のタイトルはその嘆きを表したものです。僕も当時ふんふんと頷きながら読んでました。
ところが。著者の予言は完全に外れます。 R&Bは死ぬどころかその直後の90年代、奇跡の黄金期を迎えました。少なくとも僕はそう思う。テディ・ライリーのニュージャック・スウィング〜メアリーJ・ブライジのヒップホップ・ソウル〜ジョデシィ、ボーイズIIメンらの男性コーラスグループの大流行……。 特に、ヒップホップとヴォーカルものが明確に分化し、打ち込み手法が完全に黒人ミュージシャンの血肉と化した90年代後半〜00年くらいまでのR&Bは、本当に何を買っても外れなし状態でした。今、その頃のR&Bがちょっとしたマイブームです。 しかし。 今のR&Bは勢いが無いような印象を受けます……。って僕は03年以降すっかりR&Bから遠ざかっているのですが、最近加入したスカパーの音楽チャンネルでヒットチャートを眺めていると、R&BテイストのJ-POPがほとんど目立たないんですよね。90年代のJ-POPなんてSPEEDをはじめ、R&B風アレンジが溢れていたのに。 スペースシャワーに加入した5月頃にプッシュされていたリア・ディゾンの「恋しよう♪」って曲が僕は好きで、iTSで買っちゃったくらいなんですが、この曲がR&Bぽくてなかなか良く出来ているんです。全盛期の宇多田ヒカルっぽくて、当時彼女の曲として発表していたら余裕でミリオン売れてただろうなって感じですが、残念ながらやはり時流と若干ズレているのか、あまり話題になりませんでしたね。 また、一年前、大好きなシンガーであるK-Ciのソロアルバムを購入したのですが、これには正直「停滞感」を感じてしまい、寂しくなりました。ある意味、王道なんだけれど、良くも悪くも96〜8年くらいのままで止まっている、というか。「最近のR&Bは、大体こんな感じなのかな」と、ツタヤに入ってもR&Bに触手が伸びないこの頃です。 という訳で、J-POPシーンと、この一枚をもって「R&Bの停滞」を語る危険は承知しておりますが、それでも、ブラックミュージックはこの先、何か驚くような新しい手法を持ち込んで、シーンを引っかき回すことになると思う。今までのポップミュージックの歴史を振り返ると、そういうことになる、はず。 (すみません、リア・ディゾンのことを書くはずが、いつの間にかここまで風呂敷が広がってしまいました……)
by tablerecords
| 2007-10-19 01:07
| Black Music
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