ここ数ヶ月くらい、トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』をたまに聴きます。半年くらい前に借りたんですが、iPodシャッフル中にかかったのを聴いて「へー、かっこいいなあ」と再認識したのがきっかけ。
このアルバムというと専ら話題になるのは、評論家・渋谷陽一氏による「黒人をメンバーに入れてファンキーさを出したのは安直。黒人音楽に対して批評性に欠ける(大意)」という批判は是か非か?というところですが、僕は一聴して渋谷氏の批判は的外れだと感じました。 まずこのアルバムのファンキーさは、一般のアメリカ黒人音楽とは相当に距離があること。これを聴いてすぐに連想できるブラックミュージックって、ちょっと思い付かないです。「Houses In Motion」がちょっとPファンクっぽいくらいかな? 全体的に独自のビートを構築していて、その感触はこのアルバムならではとしか言いようがなく、決して「安直な黒人音楽のコピー」ではないと思います。 それに、メンバーが黒人だとか白人だとか、関係あるのかなあ、渋谷氏はこだわりすぎなんじゃないかなあ、と思うんです。まあ時代を感じる議論ではあります。このアルバムで表現されているビートは、特にブラックミュージック畑の人でなければ不可能、という種類のモノではないと思いますし。アフロ的なパーカッションをとっぱらって聴いてみれば、この直線的なリズムはむしろパンクに近いんじゃないでしょうか。 そこで考えさせられるのは、「ミュージシャンの肌の色」と「黒人音楽らしさ」はどれほど関係があるのか?ということです。というのも、「ソウルの神髄」って感じのオーティス・レディングだって、バックのギターとベースは白人です。極上のサザンソウルを作ったフェイム・スタジオの連中は、ほぼ全員白人。モータウンのファンクブラザーズにも白人がいたし、アヴェレイジ・ホワイト・バンドなんていう、完全にファンクにカテゴライズされている白人バンドもあります。 そんな訳で「バックミュージシャンは白人か黒人か」にこだわっていたら、ブラックミュージックは聴けなくなってしまいます。 逆もまた然り。僕はこの『リメイン・イン・ライト』を、エスニック風なポリリズムを導入したパンク〜ニューウェイヴ・サウンドとして聴きました。そういえば、ストーンズも「悪魔を憐れむ歌」で似たようなことやってますよね。
by tablerecords
| 2005-05-29 01:01
| US Rock
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