07年も暮れようとしておりますが。今年もっとも愛聴したアルバムといえば、これ。
『インシグニフィカンス/ジム・オルーク』 昔、「パンクっぽいエレクトロニカが好き」みたいなことを書きましたが、まさにこのアルバムがそれでした。求めている音楽というのは、探せばあるものだなあ、という感慨すら抱いたほど。とにかく1曲目「All Downhill From Here」が凄い。 この曲をはじめ、楽曲自体は荒々しいディストーション・ギターと生々しいリズムトラックで、「ロックの初期衝動」に突き動かされてる感じなのですが、実は様々なサンプリング音をコンピュータで切り貼りしまくって再構築してあります。サウンドはメチャクチャ緻密です。 このアルバムは「ポストロック」というカテゴリに分類されるらしいのですが、ポストロックといえば、去年聴いたトータスの『TNT』も素晴らしかった。特にタイトル曲のギターリフの音は、脳味噌の中をグォーンと響き渡り、かなり衝撃を受けました。こちらも、リズムトラックなどがコンピュータで再構築された音楽らしいのですが、原始の響きを感じます。 この二枚を聴きまくって思うんですけどね。21世紀の今となっては、「ロックの初期衝動」というものは、こういう風に「サンプリング&打ち込み&コンピュータによる再構築」という、ひねくれたプロセスがないと表現できないんじゃないか、と思ってしまうんです。 ピストルズの時代だったら、ディストーション・ギターをガーンとかき鳴らしてそれが最高だった訳だし、テレヴィジョン(というNYパンクバンド)の1stだってバンドの一発録音で、そこが魅力的なサウンドだった。 でも、やっぱ今から出てくる新譜で、そういうシンプルなギターバンドの生演奏から、ロックの初期衝動的な感動を得られるか、というと、そうはいかない気がするのです。 そうではなく、こういうサンプリング&打ち込みでひねくり回した音響の方にこそ、音楽に対する原始の衝動を感じてしまう。これは僕個人の受け止め方にすぎないのかもしれませんが……。 ただ、「シンプル・イズ・ベスト」なんて言ってられる時代ではない、ということは確かだと思います。
by tablerecords
| 2007-12-12 18:44
| オルタナティヴ
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